EB ライブラリは CD-ROM 書籍にアクセスするための C のライブラリです。 UNIX 系 OS および Windows (2000以降) のシステム上で動作させることが できます。
EB ライブラリは EB, EBG, EBXA, EBXA-C, S-EBXA および EPWING 形式の CD-ROM 書籍に対応しています。 これらは、主に日本で販売されている辞書に使われています。 CD-ROM 書籍自体は ISO 9660 形式になっていますので、他の ISO 9660 形式 と同じ要領でマウントすることができます。
本書は、EB ライブラリを使ってアプリケーションプログラムを作成する 開発者向けに、ライブラリの仕様を解説した文書です。 そして、ライブラリの公式な参照マニュアルでもあります。 読み進めるにあたって、読者は EB ライブラリおよび CD-ROM 書籍の内部構造 について知っている必要はありませんが、電子ブックか EPWING を利用して、 実際に CD-ROM 書籍がどのようなものかを理解しておくことをお薦めします。 また、C 言語によるプログラミングについては、十分に理解していることを前提 とします。
本書の内容に沿って EB ライブラリを使ったアプリケーションプログラムを 作成するには、お使用いのシステムに EB ライブラリと C コンパイラを インストールしておいて下さい。 なお、本書では主に UNIX 系 OS を使用した場合について、記述しています。
EB ライブラリはフリーソフトウェアです。ソースコードおよびバイナリを、 いわゆる Modified BSD ライセンスの下で使用することが可能です。 (バージョン 4.1 よりも前のものは、GPL を採用していました。) 詳しくは、ソースコードに付属している COPYING という英文のファイルを参照 して下さい。
電子ブックと EPWING は、いずれも主に日本で使われている電子書籍の データ形式の名称で、CD-ROM に収めた形で数々の書籍が市販されています。 CD-ROM は ISO 9660 形式 なので、CD-ROM ドライブが扱えるシステムであれば、 容易にアクセスすることができます。 電子書籍のデータ形式とはいっても、実際は辞書向けに特化した構造となって おり、市販されている書籍も辞書の類が圧倒的に多いようです。
電子ブック、EPWING ともに、データ形式に関する規格の全容は一般公開されて いませんが、EPWING ついては規格の一部が日本工業規格 JIS X 4081 「電子出版検索データ構造」として公開されています。 さらに、EPWING と電子ブックのデータ形式は、酷似していることが知られて います。
EB ライブラリの開発者も、電子ブック、EPWING 規格の全容は知りません。 EB ライブラリでは JIS X 4081 の記述をもとに、電子ブック、EPWING を読める ようにしてあります。 しかしながら、規格の全容が分からない状態で開発しているため、残念ながら 一部に正しく読めない書籍が存在します。
次章「EB ライブラリの特徴」では、EB ライブラリが対応している機能、対応 していない機能について、簡単に説明します。 また、ライブラリの概略に関して、最初に知っておいたほうが良いと思われる 事柄をいくつか説明しています。
さらに次の章「プログラムのコンパイル方法」では、EB ライブラリを利用した プログラムのコンパイル方法を説明します。 本書のサンプルプログラムをコンパイルするために必要な情報も、この章に 記してあります。
そして、その次の章「ライブラリの初期化と後始末」からが、実際の EB ライブラリのプログラミングの解説となります。 それぞれの章は、次のような節から構成されています。 ただし、章によっては一部の節がない場合もあります。