この文書は EB ライブラリバージョン 4.5-20200413 に対応しています。
目次:
Copyright (c) 1998-2006 Motoyuki Kasahara
ebfont
コマンドは、CD-ROM 書籍の外字のビットマップデータを
読み込み、それを指定された画像形式に変換し、ファイルに書き出します。
ebfont
は EB ライブラリを使用しており、ライブラリと一緒に
配布されています。
CD-ROM 書籍の多くは、書籍固有の文字、外字 (local characters) を定義して います。 たとえば、CD-ROM 書籍に使われる文字セットは発音記号を持っていないため、 英和辞書の中には発音記号を定義しているものがあります。
CD-ROM 書籍は、外字のビットマップデータも持っています。
ebfont
コマンドは、CD-ROM 書籍のビットマップデータを読み、
それを指定された画像形式に変換し、ファイルに書き出します。
ebfont
は、XBM、XPM、GIF、BMP、PNG のうちのいずれか、
または複数の画像ファイルを生成することができます。
特に指定がなければ、XBM 形式が選択されます。
外字は、半角 (narrow) と 全角
(wide) の 2 種類に分類されます。
半角の文字のビットマップデータでは、高さは幅の約半分です。
全角の文字のビットマップデータでは、高さと幅はほぼ同じです。
CD-ROM 書籍は、一冊の中に両方の種類の外字を定義することが可能で、
ebfont
は両方の種類の画像ファイルを生成します。
CD-ROM 書籍の内部形式の仕様書では、半角と全角の両方の外字に対して 4 種類のサイズを定義しています。 外字の幅、高さ、サイズは次の通りです。
高さ | 半角 | 全角 |
16 | 8x16 | 16x16 |
24 | 16x24 | 24x24 |
30 | 16x30 | 32x30 |
48 | 24x48 | 48x48 |
特に指定がなければ、ebfont
は高さが 16 ピクセルのフォントの
画像ファイルを生成します。
ebfont
の実行
ebfont
の一般的な起動方法は次の通りです。
% ebfont 書籍へのパス
書籍へのパス には、CD-ROM 書籍のトップディレクトリ、つまり
catalog
または catalogs
ファイルが存在する
ディレクトリを指定します。
パスは、ローカルなパス (例: /mnt/dict) でも遠隔アクセス識別子
(例: ebnet://localhost/dict) でも構いません。
複数のパスを書くことはできませんが、以下のように、パスの指定を省くことは
できます。
% ebfont
この場合、ebfont
はカレントディレクトリの下に画像ファイルを
生成します。
このとき、ファイル名の一般形式は次の通りです。
副本/高さ/narrow/文字番号.拡張子 副本/高さ/wide/文字番号.拡張子
拡張子 は xbm、xpm、gif、 bmp png のいずれかで、文字番号 は 16 進数 4 桁 (0 から 9 と a から f) で、次のようになります。
ejdict/16/narrow/a121.xbm ejdict/16/wide/a321.xbm
ejdict/16/xbm/narrow
などの中間のディレクトリは、もし
無ければ ebfont
が生成します。
--output-directory オプションを指定することで、
ebfont
はカレントディレクトリ以外のディレクトリに
画像ファイルを出力することができます。
そのトップディレクトリは、ebfont
を実行する前に作成されて
いなければなりません。
% ebfont --output-directory ディレクトリ 書籍へのパス
ebfont
は XBM, XPM, GIF89a, BMP, PNG 形式の画像ファイルを
生成することができます。
画像形式は --image-format (-i) オプションで
指定します。
--image-format オプションは引数を一つ取り、そこにカンマ
(,) で区切って、画像形式の名前を並べて書きます。
たとえば、以下のコマンドを実行すると、ebfont
は XPM 形式と
GIF 形式の画像ファイルを生成します。
% ebfont --image-format xpm,gif 書籍へのパス
--image-format の引数は、次のように分けて書くこともできます。
% ebfont --image-format xpm --image-format gif 書籍へのパス
XPM, GIF, PNG 形式では、前景色は黒 (RGB の #000000) に、 背景色は透明になります。 BMP 形式では、前景色は黒に、背景色は白 (RGB の #ffffff) に なります。
ebzip
は GIF の画像を生成する際に LZW 圧縮アルゴリズムを
使わないため、ファイルのサイズは相当大きくなります。
特に指定がなければ、ebfont
は、半角と全角それぞれについて、
高さ 16 ピクセルのフォントの画像ファイルを生成します。
--font-height (-f) オプションを使用することで、
他の高さのフォントの画像ファイルを生成することができます。
--font-height オプションは引数を一つ取り、そこにカンマ
(,) で区切って、フォントの高さを並べて書きます。
フォントの高さは、16、24、30、
48 のいずれかでなくてはいけません。
たとえば、以下のコマンドを実行すると、ebfont
は高さ
16 ピクセルと 24 ピクセルのフォントの画像ファイルを生成します。
% ebfont --font-height 16,24 書籍へのパス
--font-height の引数は、次のように分けて書くこともできます。
% ebfont --font-height 16 --font-height 24 書籍へのパス
なにも設定しないと、ebzip
はすべての副本 (subbook) を対象に
して画像ファイルを生成しますが、--subbook (-S)
オプションを使うと、指定した副本の画像ファイルだけを生成することができます。
--subbook オプションは引数を一つ取り、そこにカンマ
(,) で区切って、副本のディレクトリ名を並べて書きます。
ebinfo
コマンドを用いると、あなたの所有している書籍に
どのような副本が含まれているのかを知ることができます。
% ebinfo /mnt/cdrom ディスクの形式: EB/EBG/EBXA/EBXA-C/S-EBXA 文字コード: JIS X 0208 副本の数: 3 副本 1: 題名: 新英和辞典(第四版) ディレクトリ: english 検索方式: 前方一致 後方一致 条件 メニュー フォントの大きさ: 16 24 30 48 半角フォントの文字: 0xa121 -- 0xa24e 全角フォントの文字: 0xa321 -- 0xa27e 副本 2: 題名: CD-ROM 仏和辞典(第三版) ディレクトリ: french 検索方式: 前方一致 後方一致 条件 メニュー フォントの大きさ: 16 24 30 48 半角フォントの文字: 全角フォントの文字: 0xa321 -- 0xa27e 副本 3: 題名: ポケット独和辞典(第三版) ディレクトリ: german 検索方式: メニュー フォントの大きさ: 16 24 30 48 半角フォントの文字: 全角フォントの文字: 0xa321 -- 0xa27e
(ebinfo
コマンドに関しての詳細は、
ebinfo コマンドのマニュアル を参照のこと。)
この例では、3 つの副本が書籍には含まれており、そのディレクトリ名は
english
, french
, german
だということが分かります。
次のコマンドを実行すると, ebfont
は english
と
french
の画像ファイルだけを生成します。
% ebfont --subbook english,french /mnt/cdrom
ディレクトリ名の大文字・小文字の違いは、区別されません。 --subbook の引数は、次のように分けて書くこともできます。
% ebfont --subbook english --subbook french /mnt/cdrom
ebfont
のオプション一覧
ebzip
コマンドは、伝統的な一文字オプション名と覚えやすい長い
オプション名の両方を扱うことができます。
長いオプション名を表すには、- ではなく -- を
用います。
オプション名が一意に決まる範囲内で、名前の後方部分を省略することができます。
-d
--debug
--verbose
-f 高さ
--font-height 高さ
ebfont
は高さが 16 ピクセルのフォントのものを
生成します。
(詳しくは、「高さ」を参照のこと。)
-h
--help
-i 画像形式
--image-format 画像形式
-o ディレクトリ
--output-directory ディレクトリ
ebfont
はカレントディレクトリ
(.
) の下に画像ファイルを生成します。
(詳しくは、「ebfont
の実行」
を参照のこと。)
-S 副本
--subbook 副本
ebfont
に、どの副本の外字を生成させるのかを指定します。
副本 は、副本のディレクトリ名をカンマ (,) で
区切って並べたものでなくてはなりません。
指定しなかったときは、すべての副本が生成の対象になります。
(詳しくは、「副本」を参照のこと。)
-v
--version